マンチェスター・ユナイテッド大学

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【21-22CL/GSラウンド2】ビジャレアル戦に見るユナイテッドの新戦術 ~4-3-3は新機軸になりえるか?~

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こんにちはMasaユナイテッドです。

 

21-22チャンピオンズリーグ グループステージ2回戦、ホームで昨シーズンヨーロッパリーグの覇者、ビジャレアルと対戦したユナイテッド。試合は前半ビジャレアルが果敢な仕掛けから、ダンジュマアルカセルなどが何度もユナイテッドゴールに襲い掛かる展開に。これをなんとかデ・ヘアのファインセーブでしのいでいましたが、後半の53分、トリゲロスが持ち上がりダンジュマへ繋いでゴール前へクロス。これをアルカセルが合わせてビジャレアルが先制します。しかし、ユナイテッドも60分にブルーノのフリーキックテレスがダイレクトでミートし、豪快にゴールへ叩きこみ同点に追いつきます。何としてでも勝ち点3がほしいユナイテッドは、75分にマティッチ、カバーニを、89分にリンガードとフレッジを投入します。そして迎えたアディショナルタイムの95分。リンガードの戻しのパスをロナウドがゴールに突き刺し逆転!大歓声のサポーターに後押しされてユナイテッドが2-1と劇的な逆転勝利を収めました。

*試合のハイライトはこちら

www.manutd.com

今回はこの試合でユナイテッドが見せた戦術的アプローチについての記事。新フォーメーション4-3-3やプレス、ビルドアップなどに関して解説します!

以下項目です。

👿ラインナップ

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CL/GS2 ユナイテッドvsビジャレアル ラインナップ

 

①攻撃型4-3-3システム

公式戦4戦3敗と調子が上がらないユナイテッド。CLグループステージ1回戦ヤングボーイズ戦も落しており、何としても勝ちが必要なビジャレアルでした。そんな大一番でスールシャール監督は、今シーズン初めて4-3-3フォーメーションを採用するというギャンブルに出ます。昨シーズンのCLグループステージ、ホームのライプツィヒ戦でユナイテッドは、中盤ダイヤモンドの4-3-1-2を使い勝利しましたが(5-0で勝利)、その試合に匹敵するほどの戦術的なアプローチビジャレアル戦で見せました。

マクトミネイをアンカーに置き、ブルーノとポグバをインサイドハーフに置く形は、今シーズンの開幕前に多くのメディアで議論された攻撃的4-3-3。狙いとしては、恐らく引いてくるであろう堅守が売りのビジャレアルに対して、前線のタレント力を遺憾なく発揮する為のシステムだったと思います。

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アンカーのマクトミネイがカギを握ったのと同様に、このシステムで重要な役割を与えられたのがダロトです。右サイドバックのダロトはいわゆるサイドバックの役割を与えられていました。マクトミネイ1人で3列目をケアする事は不可能なので、ダロトが内に絞ってボランチに可変する事で中央の守備を補おうとするやり方です。ボール保持の場面でも、マクトミネイと同じ高さでボランチとして振る舞っており、前がかりになる前線とのバランスを保ち、被カウンターにも対応する仕事も任されています。

さらに、両ウィングは大外に幅を取って立ち、ビジャレアルの両サイドバックを広げる役割を担います。そしてバックラインを横に広げたところを一旦後ろに戻して、ポグバやブルーノ、マクトミネイ、リンデロフなどから裏のスペースへフィードを入れる事で崩そうとします。

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ユナイテッドの4-3-3システム

このように、ビジャレアル対策として、綿密に準備した4-3-3システムを見せたユナイテッド。試合前にスールシャール監督は「ビジャレアルを分析し、チームも先週末からの改善点、レベルアップできる部分について考えている」と語っていましたが、正直ここまでやってくるとは想像してませんでした。

 

②プレス&ビルドアップ

システム同様にこの試合では、プレスとビルドアップに関しても整備して臨んでいました。プレスはビジャレアルの2センターバックに対してロナウドとグリーンウッドが対峙。グリーンウッドは左サイドバックモレノへのパスコースを消しながらパウ・トーレスに寄せます。ダロトは1枚浮く形になる左インサイドハーフのトリゲロスをマーク。しかしながら、そのダロトが空けたスペースをダンジュマが突く形が多くなっていきます。

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ダロトはトリゲロスとダンジュマ2人を見る必要に迫られ、対応が後手になり苦戦します。そもそも4-3-3のビジャレアルに対して4-3-3でプレスを掛けるのでアンカーのところは数的均衡が保てません。そのシワ寄せがダロトの所になりました。また興味深かったのは、時間の経過とともにグリーンウッドがプレスを放棄した事です(笑)。このあたりは戦術脳を使い慣れていないことが垣間見れるシーンでした(笑)。まぁグリーンウッドだけでなく落とし込みが十分でないので、時間の経過と共に組織的動きが取れなくなっていった所もありました。流石にこのプレスの掛け方は後半修正されます。ハメに行くことを止め、4-1-4-1でブロックを作るやり方に変更しています。

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ユナイテッドのプレス構造と問題点

ビルドアップに関しては左サイドがメイン。大外に張ったサンチョとインナーレーンにポジションを取るテレス、そしてハーフスペースを降りてくるポグバを中心に組立ます。アンカーのマクトミネイは、バックラインからのパスの経由点としての役割で、展開力をそこまで求められていない印象でした。ポグバやブルーノが降りて受けて、ロナウドやグリーンウッドの裏への飛び出しへフィードを送る形が多く見られました。その他には、特に前半光ったのはサンチョのドリブルでの仕掛けでしょう。そこまで突破できたわけではないのですが、積極的な仕掛けとボールを失ってもすぐに取り戻しにいく姿勢は評価に値します。

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ユナイテッドのビルドアップ

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このように、前回の記事で指摘したプレスとビルドアップに関してもしっかり整備された状態で試合に臨んだ印象を受けます。しかしながらプレスにしてもギャップができていたり、中盤のプレスが薄いので簡単にドリブルでゴール前まで運ばれたり、まだまだ細部まで詰めて、クオリティを上げる必要があります。

*前回の記事はらこちら

manchesterutddaigaku.hatenablog.com

 

 

③戦術評価

ビジャレアル対策とした4-3-3システムでしたが、残念ながら機能したとは言えません。あれだけ前線に人数を掛けながら、崩すシーンや決定機はほとんどなく(ユナイテッドのゴール期待値xGは1.4、決定機は1)、ポグバやブルーノの良さも十分には発揮できませんでした。マクトミネイの負担も大きく、陣形がコンパクトだった前半はまだしも、後半に陣形が間延びすると、中盤以降と前線の分断が顕著になりました。

また、戦術的に重要な役割を担ったダロトは前半からダンジュマの仕掛けに対応出来ず、集中的に狙われました。ボール非保持の時に4-4-2でリトリートするビジャレアルは、ダンジュマが2トップの左に入ります。そしてマイボールになった瞬間に、左ウィングとしてダロトの空けたポジションを突く形でカウンターを狙い、これが見事にハマっていました。後半の失点シーンのダロトの守備は、かなりお粗末な対応だったと言わざるを得ません。守備に関してはワン=ビサカの方が一枚も二枚も上手だということを証明してしまいましたね。しかし、一応擁護しておくと、偽SBという新たな役割を与えられ「頭」に意識が集中した事と、グリーンウッドはプレスバックしない、リンデロフはカバーの意識が強くアタックに来ないなど、周りのサポートが少なかったこともパフォーマンスが良くなかった理由としてあるかもしれません。

後半に同点に追いついた後の65分頃から、ユナイテッドは4-2-3-1に戻しています(プレス時は4-1-4-1)。マクトミネイが右のボランチへ移動した事で、ダンジュマにやられるシーンがなくなったのは偶然ではないでしょう。そして4-2-3-1に戻してから、全体の攻守のバランスも、選手の動きも良くなった事実は4-3-3がまだ未完成であり、使用するにはさらなるブラッシュアップが必要だということを示しています。

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今回の結果だけを見ると恐らく、4-3-3がスタンダードになる事はないですし、もしかしたら2度とやらないかもしれません(笑)。仮にやるにしても、アンカーが務まるタレントの獲得が必要です。しかし、個人的には4-3-3は戦術レベルを上げ、ゲームの主導権を握るのに有効なシステムだけに、使えるに越したことはないと思っています。たかだか1回やって失敗しただけで、捨ててしまうのは勿体ないとも思います。システム変更は落とし込みに時間が掛かります。そんな余裕はないのは確かですが、バックラインやアンカーの人選、IHの組み合われを変えながら何度か試してみて欲しいという気もします。

 

👿まとめ

内容的には完敗...そう言っても過言ではなかったビジャレアル戦を勝利に導いたのはデ・ヘアのセービングとテレスのクオリティ、そしてロナウドのメンタリティでした。テレスのゴールはセットプレーからでしたが、今シーズン、エリック・ラムジーコーチの指導によりセットプレーの種類と精度を上げつつあるユナイテッド。得点こそなりませんでしたが、何度もコーナーキックから迫力あるシーンを生み出しました。テレスのゴールはブルーノと申し合わせたようですが、素晴らしいダイレクトボレーでした。この同点弾で勢いをつけ、カバーニ、マティッチ、リンガード、フレッジの投入が見事に功を奏し、劇的な95分の決勝点へと繋がります(カバーニの粘り、フレッジのクロス、リンガードのアシスト)。またしてもアディショナルタイムでの劇的な試合。まさにユナイテッドな勝利と言えますね。

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マグワイアとショーが負傷離脱、ワン=ビサカが出場停止と、バックラインのレギュラー3人を欠きながらも新たなシステムで臨んだ結果、守備面で危うい場面が散見されました。個々の守備対応、デュエルの場面でもピリッとしない場面が見られる今シーズン。この部分の改善も必要です。

しかしながらこの大一番に、これだけの戦術的変更と準備で臨んだことは、個人的には評価したいと思います。結果的に機能しませんでしたが、スールシャール監督にも改善の意志があり、必要あらば戦術的なアプローチもできる事を示しました。今後、チーム力を上げるのは①選手のコンディションが上がる②選手間の連携が上がる③新戦力を迎える、そして④戦術レベルを上げるの4つしかありません。このうちの1つをみすみす放棄するのは勿体ないと思います。リスクはありますが戦術面の整備は継続的にトライすべきです。

なんとか勝ち点3を獲得したユナイテッドですが、試合内容からも、完全に不安が払しょくできたわけではありません。緩慢な守備、機能しない攻撃陣など課題は山積みです。しかし、何かを変えて前へ進もうとするチームを今は信じて見守りたいと思います。代表マッチウィーク前のプレミア第7節エバートン戦。この試合で快勝して、上昇気流に乗りたいですね!

ビジャレアル戦の結果、ユナイテッドはグループFの3位となっています。

*スタッツはこちら

www.uefa.com

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CL/GS2 試合結果
出典:ユナイテッド公式

次回のCLグループステージ3回戦は、オールド・トラッフォードでのアタランタ戦 10月21日(木)4:00キックオフ。カモン!ユナイテッド!!

 

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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