マンチェスター・ユナイテッド大学

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【20-21】シーズン・レビュー 〜戦術編〜【マンチェスター・ユナイテッド】

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こんにちはMasaユナイテッドです。

 

今回は20-21シーズンレビュー戦術編として、ユナイテッドの今シーズンの戦い振りを攻撃と守備、それぞれの戦術的ポイントを挙げて振り返りたいと思います

 

なおデータはSofaScoreFBREFのものを参考にしており、プレミアリーグに限定しています。

 

*シーズン・レビュー・ストーリー編はこちら

manchesterutddaigaku.hatenablog.com

 

以下項目です。

①ディフェンス

★20-21プレミアリーグ
失点・・・44(5位)
xGA(被ゴール期待値)・・・41.92(4位)
クリーンシート・・・13試合(4位)

数字を見ると、昨シーズンの36失点から8失点増え、被ゴール期待値も上がっています。昨シーズン、リーグ2位を誇った堅守は今シーズンは鳴りを潜めたというのが総合的な判断となります。

もちろん、スパーズ戦の6失点が大きく影響している側面はありますが、守備が安定していたとは言えない印象の今シーズン。昨シーズンと大幅なメンバーの変更はなく、デ・ヘアマグワイア、リンデロフ、ショー、ワン=ビサカ のレギュラー陣は不動だったにも関わらず、安定感に欠けたのは何故なのでしょう?

ここでは3つの守備戦術にスポットを当てて見ていきます。

1-2.プレスとバックラインの高さ

今シーズン、リーグ戦のユナイテッドの総プレス回数は5041回です。これは下から5番目の数字ですが、そもそもボール保持の時間が長ければ下位になる可能性が高いです(シティが一番低い)。ユナイテッドはリバプールサウサンプトンほど、ガンガンプレスを掛けるチームではありません。また、組織的なプレッシングも得意としていません。前線は結構プレスをかけるのですが、中盤が連動しない為に第一プレスラインを突破されるとラインがズルズル後退します。被シュート本数は425本で、下から9番目の数字(シティ、リバプールチェルシー、ブライトン、レスター、アーセナルサウサンプトン、フラムの次)。2位のチームにしては明らかに多い数字です。

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ラインが下がってしまう他の要因は、CB(マグワイア、リンデロフ)のスピード不足と、デ・ヘアの守備範囲の狭さが挙げられます。ちなみにデ・ヘアは、26試合出場でボックスの外で守備をした総数は9回(0.35回/90分)ですが、ヘンダーソンは13試合で14回(1.12回/90分)となっています(エデルソン0.64回/90分、アリソン1.33回/90分)。

ラインを下げて、相手を自陣に誘い込み、カウンターを発動させやすくするという狙いもありますが、ライン間をコンパクトに保てず、陣形が間延びしていることで得られるメリットはあまりありません。

1-2.セットプレーからの失点

今シーズンの守備において、最も取りざたされたのがセットプレーからの失点でしょう。ユナイテッドは今シーズンのリーグ戦で、セットプレーから14失点しています。総失点の1/3がセットプレーという恐ろしい(笑)数字を叩出しました。ユナイテッドの相手セットプレー時における守り方は、ゾーンとマンマークのハイブリットです。ゴール前に4.5人背の高い選手を並べ、そのほかの選手はボックス外から走り込んでくる選手をマンマークで見ます。ポイントとなるのはマグワイアで、彼がボールをはじき返す事が最優先事項となっています。マグワイアがボールに触れない時に失点していることは偶然ではありません。

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実はこの守り方は昨シーズンと同じやり方です。ユナイテッドは今シーズン、セットプレーの守備組織を整備できていないのです。過密日程によりセットプレーの守備構築に時間をさけていないことが想像できます。

しかし実際は、マグワイア、リンデロフ、ショー、ワン=ビサカの4人が組んでいるときはセットプレーからの失点は3つしかないというデータが海外サイトに掲載されています(確認はできてません)。残りの11失点は、バックラインのラインナップが変更された時に起こっています。つまりはバックアッパーを含めてのトレーニングが、最重要で取り組むべき課題だと言えるでしょう。

1-3.クロス対応

最後はクロス対応。今シーズンの失点の形でセットプレー同様目についたのが、大外へのクロスに対応できずに失点するシーンです。CLライプツィヒ戦の2ndレグや、37節のフラム戦など、この形で失点しています。この現象が起こる要因はバックラインのスライドにあります。

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4バックの場合、ピッチの横幅を4人でカバーする事はできないので、ボールサイドへスライドするやり方は多くのチームが採用しています。守備に重きを置くチームは、4バックを中央へ集めて、ボールサイドのウィングが守備ラインまで降りることで横幅をカバーする事もありますが、ユナイテッドはウィングを守備に戻すことは、チームとして採用していません

これにより、サイドバックとウィングの間にスペースができ、ここからクロスを入れられます。その時、ユナイテッドのサイドバック(ショー)は釣り出され、その裏をカバーする為マグワイアがスライドします。更にゴール前を埋める為にリンデロフとワン=ビサカもスライドするため、逆サイドはスペースができてしまいます。ここへ相手のサイドバックが侵入し、シュートを打たれています。

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20-21 ユナイテッドのクロス対応

本来であればここをカバーするのはやはりウィングです。しかし、カウンター戦術を機能させる為に前へ残る事を基本としているので、戻る意識が薄く対応できません。カウンター戦術の副作用と言えますね。

 

②アタッキング

★20-21プレミアリーグ
得点・・・73(2位)
xG(ゴール期待値)・・・63.17(4位)
シュート総数・・・517(6位)
枠内シュート数・・・197(3位)
PKでの得点・・・10(1位)

昨シーズンの66得点より7点プラスサウサンプトン戦の9点やリーズ戦の6得点が大きく影響していますが、昨シーズンの歯痒い攻撃よりは、成長が見られたの間違いありません。ゴール期待値より10点多く実得点を挙げている事も、成長を裏付ける証拠と言えそうです。

攻撃も3つの戦術的ポイントをピックアップして振り返ります。

2-1.ビルドアップ

ユナイテッドは昨シーズンのコロナ中断明けから今シーズンに掛けて、ビルドアップの改善に取り組んできました。キーパーからのリスタートなどは、低い位置からボールを繋ぐ意識が強く、また相手のプレスの掛け方に応じて中盤センターの1人をCBに落としてビルドアップを助けるやり方も頻繁に見せています。

ユナイテッドのビルドアップの目的は2つ。低い位置からボールを繋ぐ事で、相手のラインを上げさせ、バックライン裏にスペースを作り出す事が1つ。そこをラッシュフォード、グリーンウッド、ジェームズなどのスピードを活かし、素早く攻撃したいという思惑があります。相手があまり前からプレスを掛けてこない場合は、ブルーノに良い形でボールを届ける事がもう一つの目的。

しかし、今シーズン、このビルドアップが安定していたとは言えず、中盤センターのところを狙われ、自陣でボールロストするシーンが度々見られました。シーズン前半はポグバ、後半はフレッジが主に狙われましたが、マティッチも何度かそういうシーンがありましたね。

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中盤センターのポジショニングか悪いので、ボールの出しどころを読まれやすい上に、激しいプレスを回避するクイックネスとスキルを持ち合わせていない事が原因だと思います(ポグバのサイド起用の要因の1つ)。

来シーズンはビルドアップのやり方を見直す必要がありますが、上手く構築できなければ、能力の高い選手を連れてくるという解決策を使う事になります。ライスやヌディディ、マルコス・ジョレンテなどの名前が挙がっているのはこの辺りの改善を意図していると思います。

2-2.中盤の展開力不足

ビルドアップにも繋がる話ですが、シーズン後半、海外メディアからも頻繁に指摘されたのが、中盤の展開力不足です。昨シーズンから、ビッグマッチなどで重用されたフレッジ、マクトミネイの中盤センターコンビ。今シーズン中盤戦、ポグバをサイドで起用するようになってから更にこの2人への依存度が増していきました。

リーズ戦やサウサンプトン戦のマクトミネイの活躍は、中盤のクオリティの向上を意味し、チームは分厚い攻撃が可能になったかに見えました。しかし、チームの失速とともにマクトミネイは高い位置を取らなくなっていき、フレッジもボールロストが目に付くようになっていきます。

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ハードワークができ、フレッジプレス回数でチーム2位(639回)。マクトミネイもデュエルの曲面で頼りになる選手ですが、ボール保持の場面でのクオリティ不足は否めません。マクトミネイは前を向く事が得意ですが、中盤からパスを効果的に展開することはそれほど得意ではありません。フレッジも同様で、中盤でのゲームメイクに関しては合格点を挙げられないでしょう。

この為に、ボールポゼッションの高くなる試合での2人の攻撃面での貢献度は低く、引いたブロックを崩すというチームの課題を解決する事ができない要因の1つとなっています。それを打開する為に、ポグバを試合後半で中盤に戻したりしていますが、後方からではポグバの威力が半減してしまうので少し勿体ないですね。

2-3.個の能力を活かす

この様にボールの前進に難のあるユナイテッドが、今シーズン攻撃力を上げられたのはなぜなのでしょう。

その答えはやはり「個の能力」です。スールシャール監督は2018年の就任以来、戦術的なアプローチを取らず、個の能力を活かすフットボールを目指してチーム作りをしてきました。19-20シーズン前半は、引いたブロックを崩せず、得点できない試合が多かったですが、冬の移籍で加入したブルーノ・フェルナンデスにより状況は一変。リーグ3位に押し上げる原動力になりました。そのブルーノは今シーズンもプレー面、メンタル面の両方でチームを牽引。プレミア37試合18G12A(共にランキング3位)の成績を残しました。

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更に、ブルーノのパフォーマンスが少し落ちた中盤戦からは、ショーとポグバが攻撃面で存在感を発揮。サイド起用されたポグバは、崩しの場面で中に絞って10番の役割もこなし、ショーは安定感抜群のパフォーマンスでキーパスを量産。(ブルーノの94本に継ぐ71本を記録)ワールドクラスのサイドバックへ進化しました。シーズン後半はグリーンウッドとカバーニが持ち前の決定力を発揮。プレミア最後の10試合でユナイテッドは19ゴール挙げていますが、この2人で10ゴールを挙げています。

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この様に今シーズンのユナイテッドは、能力の高い選手たちのコンディションが上がり、ブルーノを中心としてコンビネーションが良くなったことで創造性が発揮され、攻撃面で進化しました。選手それぞれの個性がそのままチーム内の「タスク」となっているところに今シーズンの強みがあったと思います。

しかし、ご存知の通り、この戦術を持たない方法は主力のコンディションが落ちたり、ローテーションでメンバーが変わると機能しなくなる可能性があります。この方法論のままタイトルを狙うのであれば、よりクオリティのある選手を増やしていくしかないということ。

来シーズンも、基本的にはこの路線のままいくとは思いますが、今シーズンは中2日が続く過密日程の為に、戦術的アプローチが取れなかったという側面もあるはず。来シーズンは、少しは戦術的な落とし込みがなされることを期待したいです。

 

👿まとめ

コロナによる影響でプレシーズンがなく、過密日程となった20-21シーズンを2位という悪くない成績で終われた要因に、戦術よりもコンディション調整を重視した事が挙げられます。スケジュール的にも、戦術を落とし込む時間はなかったと思いますし、コンディションが整わずに本領発揮できなかったチームもあったことを考えると、このやり方は正解でした。

一方で、今シーズンのユナイテッドはチーム全体として進化しながら、攻守両面で課題も多く見られたのも事実。セットプレーからの失点や、ブロック守備を崩すのに苦労する攻撃、ローテーションすると戦力が著しく落ちるなどは、戦術的アプローチによる修正が必要でしょう。

それが今シーズンできなかったのは、時間の問題だったと思いたいです。見事な戦術でパリやライプツィヒを破ったCL の戦い振りや、エティハドで快勝したシティ戦のように、タクティカルな戦い方もスールシャールはできます

来シーズンは例年通りのスケジュールでシーズンが進むはず。スールシャール監督が戦術的なアプローチでチーム力をレベルアップさせるのか、それとも補強に頼り、個の能力頼みのやり方を続けるのか注目です。

次回はシーズンレビュー選手編をお届けします!

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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